プラハにて(2)

EADV ヨーロッパ皮膚科学会の参加初日の朝は、いきなりハプニングでした。前日わざわざ地下鉄で学会場までの下見をしていたのに、朝地下鉄駅に出向いて見るとシャッターが降りていました。チェコ語?で何やら書いてあっても訳がわかりません。どうもA 号線が臨時休業のようです。一寸パニックになりかけましたが、それ程遠い距離ではなかろうとタクシーに飛び乗りました。流しのタクシーは気をつける様に、とガイドブックにも書いてあり、先に運賃を確認する必要があります。1500円位でまずまずかなと思い学会場のコングレス・センターまで乗りました。(案の定次の日は1000円で行けることがわかりましたが。) まず乾癬の会場に向かったのですが、すでに満席で会場の外は黒山の人だかりです。皆モニターを見つめています。ヨーロッパの学会は皆そうなのでしょうが、会場にはきっちり椅子の数の人数しか入れません。日本なら立ち見席でもOKなのに何とかして欲しいものです。会場によっては外にモニターがない所もあり、さすがに入れなかった女性が文句をいっていましたが、会場から次の会場に移動するためどうしても入れないケースがでてきます。しかも会場の出入りではしっかり登録済みかどうかタグをスキャンしてチェックします。自由に移動しもぐり込める日本の学会は便利だと思いました。 セッションが10箇所以上に分かれていると混雑の度合いが異なるのは仕方ないのかもしれませんが。 乾癬のセッションはいつも一杯です。欧米人に多いせいかもしれません。(ちなみに夜クルーズで会ったカナダ人の皮膚科医は人口100人に対し3人の患者がいるといっていました。) 当地でも話題は生物学的製剤が中心で、レミケード、ヒューミラ、ステラーラと日本とほぼ変らない様子でした。しかしMTX(メソトレキセート)が普通に使えているのに日本で適応にならないのは一寸釈然としません。(しかも日本でも関節リウマチではMTXを併用するのが当たり前なのに) 乾癬で注意を引いたのは、最近乾癬は皮膚のみではなく、メタボリック症候群を伴い易く、心血管系の病気にもなり易い全身病として捕らえるべきだ、との考えです。確かに関節リウマチにも似て、TNF-aが全身の組織に悪影響を及ぼしてるとの考えもできます。 もうひとつは、カナダからの報告でbrodalumub(AMG827) という抗IL-17 作用のある薬剤を乾癬患者に使用したところPASI 100 (ということは治癒を意味します)を含め非常に効果の高い成績を示したとのことです。まだ48週でオープントライアルとのことですが、これが本当ならばすごいことです。 乾癬は以前はあまり免疫疾患とは縁のない病気と考えられてきましたが、シクロスポリンの登場以来、にわかにT細胞系の免疫異常が原因とされるようになってきました。そして、TNF-alpha, IL-23と来て、さらにIL-17です。ステロイド、シクロスポリンと免疫系に大きく網を掛けるのではなく、次第にピンポイントで疾患の本質に近づいてきているようにも思われます。この薬剤の今後を期待したいところです。 夜のリバークルーズはなかなか楽しいものでした。たまたま隣合わせたカナダ人、トルコ人の皮膚科医と食事を共にしました。皮膚科の話では盛り上がったのですが、ご婦人からホリデーなのだからもっと他の話をと軽く釘を刺されました。しかし、唯一コミュニケートできるのが皮膚科の話題と、平身低頭でした。他のことになるとからきし中身がなく、語彙不足で天気位の話題になってしまいます。 しばらくして、甲板に上ってみました。夜風は事の他冷たかったですが、モルダウ川から見るプラハの夜景は素敵でした。 また後で、カレル橋から眺めたモルダウ川も綺麗でした。
カレル橋1.JPGカレル橋2.JPGカレル橋から1.JPGカレル橋から2.JPG

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