小児の食物アレルギーの特徴

小児の食物アレルギーの特徴、原因食物、自然史として藤田保健大学小児科の近藤康人先生の総説がありました。
ガイドラインも米国国立衛生研究所から発刊されたものが、近年定義の変更があったり、食事療法も厳格なものから必要最低限の除去に変わってきたりと、最新の医療現況は変わってきているとの記述が印象的でした。その抜粋を紹介します。
まず定義の変更ですが、以前は経口摂取(口から食べたもの)だけが対象でしたが、皮膚接触(いずれ後日また述べます。)、吸入、注射などどの経路を辿っても原因が食物であれば食物アレルギーとされます。
臨床病型は4つに分類されます。
1. 新生児・乳児消化管アレルギー・・・他の型と異なり非IgE依存性
2. 食物アレルギーの関与する乳児アトピー性皮膚炎
3. 即時型症状(蕁麻疹、アナフィラキシー)
4. 特殊型(食物依存性運動誘発アナフィラキシー、口腔アレルギー症候群)・・・この型は少ないですが重要なので後日改めて述べます。
このうち、ショックなどの重篤な症状を起こす危険性が高いのが3.と4の中の食物依存性運動誘発アナフィラキシーです。
臨床症状は皮膚症状のみが(88.6%)、呼吸器症状(26.8%)、粘膜症状(23.8%)、消化器症状(13.4%)、ショック症状(10.9%)と続きます。
食物アレルギーの有病率は乳児期は5~10%、幼児期は5%、学童期は1.5~3%と徐々に耐性ができて、少なくなってきます。ただ、そのメカニズムはよく分かっていません。
3大原因物質は鶏卵、牛乳、小麦が多く、以下甲殻類、果物、ソバ、魚類、ピーナッツと続きます。この中で甲殻類、ソバ、魚類、ピーナッツは耐性ができにくいとされます。
治療はこれまでの厳格な原因食品の除去から必要最小限の除去に変わってきました。乳幼児の栄養面に配慮し、多くは耐性を獲得するため小児科医と管理栄養士の連携で指導を行っていくのがよいとされます。
ただ、誤食は常に起こる可能性がありますので、抗ヒスタミン剤の携行、アドレナリンの使用指導が必要です。最近幼児でもエピペン(携行アドレナリンの自己注射セット)が使用可能になり、アナフィラキシー時の救命に役立つことが期待されます。

最近食物アレルギーに対する経口免疫療法が脚光を浴びており、今回の雑誌のなかでも取り上げられており、ディベートがなされていますが、是とする意見と非とする意見があり、未だ研究段階で安易に行うべきではないようです。

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