ヨテボリ便り(1)

昨年2010年、思い立ってヨーロッパの皮膚科学会に出席してみました。長らく開業していると井の中の蛙になってしまうとの危惧もありました。皮膚科医会の席である同僚の先生と話していた時、先生は各国の皮膚科の国際学会に参加していることを伺いました。今は皮膚科医院は多くあるのだから、自分自身が決心しさえすれば多少休診しても患者さんにそれ程迷惑にならない、と国際学会出席を実践されていました。それに触発されて遅ればせながら思い立ったわけです。その時の旅行記をまとめてみました。

 10月5日予定よりやや遅れて12時半過ぎにSK984便は成田を飛び立つ。通路側の座席に座ったが、窓側には外人が座る。しばらくみていると箸は使うし日本語の受け答えをしている。変な外人だ。ややしてから箸を使うのが上手ですねと話しかけたらポーランド人で日本語を5年間習ったとのこと。今回は初めての日本の旅で東京、大阪、北海道、など20日余り回り千葉の大原、大多喜にも行ったとのこと。なんでそんなローカルな所にと問うと日本語の先生が住んでいて久しぶりに会いに行ったとのこと。北海道はポーランドを彷彿とさせて良かった、東京は混みすぎて田舎の方が良いという。なんで日本に興味を持ったのと聞くと日本の文化、歴史、歌など色々なものに惹かれたとのこと。どんな歌が好きかと聞くと北島三郎だと。ますます変な外人だ。僕は下手なショパンのノクターンの練習をしている(大人のピアノという簡単なやつ)というとポーランド人は好きな人もいるけどそれ程でない人もいると。ポーランドというと、ショパンしか知らないのは、外人が富士山、芸者というのと一般かもしれない。外国かぶれしてる人より意外と純日本人が好まれるのかも。
 コペンハーゲンには予定より遅れて到着したのでトランシットの乗客には急げとか、代替え便の案内をしている。大変そうだが、小生は今晩は市内のホテルまで行けば良いのでのんびりだ。予定はやはり余裕があったほうが良い。カルスロップ国際空港は静かな空港だけどアナウンスが少ない分、方向が分かりにくい。ようやく切符を買って中央駅まで出る。今日のホテルのRadison Blu Royal Hotel はアルネ・ヤコブセンのデザインした洒落たホテルだ。一泊3万円以上したが多分ダブルベッドルームで二人分の料金を払い込んだせいだ。広いダブルベッドで自分のあほさ加減にあきれる。妻は建築、インテリアに興味があり、かつていろいろと蘊蓄を傾けていたが、小生には猫に小判か。長旅で疲れてはいたが、折角のコペンハーゲンなので夜の街の散策に出かける。ホテルから歩いてストロイエ大通りを行く。コペンハーゲンで一番賑やかな通りとのことだが人は意外と少ない。日本の銀座、新宿のほうがよほど賑やかだ。ただ、石畳の通りは重厚な中世のヨーロッパを感じさせる。チボリ公園もみてみたかったが、時季外れで閉園してしまっていた。ウインドウショッピングをしながらレストランを探したが、機内でたらふく食べた後なので軽食の店をと思いながら歩いていたので結局適当な店が見つからずホテルの近くまで帰ってきてしまい、コンビニで(セブンイレブンがあった)サンドイッチを買い帰る。翌朝は午前中だけの滞在なのでホテルでレンタル自転車を借りてガイドブック片手に街の探索に出かけた。通勤時間と重なったためかやたら自転車の人が多い。しかもかなりなスピードで飛ばしていく。こちらは知らない街だしガイドブック片手なので追い越されながらゆっくり走る。それでもあるカーブで後ろから追い越しをかけてきた若い女の子と接触してしまった。お互いに倒れる寸前で踏みとどまり双方とも怪我がなく良かったとその場は別れたが、後であちこちの関節は痛くなるし、ハンドルはかなり曲がってしまったし大怪我寸前だったかもしれない。結局行けたのはローゼンボー庭園のみだった。帰り道は道順を聞きながら何とかストロイエを経由して王宮広場まで帰りつく。傍らにアンデルセンの銅像が鎮座していた。ホテルに帰り、借りていた自転車を返し、コペンハーゲン中央駅から電車でまたカルスロップコペンハーゲン空港まで戻る。空港ではセキュリティーチェックで荷物の中まで開けさせられた。係官の女性はアトランダムだというが、開けさせられているのはイスラム系を始めとした外国人ばかりだ。小生も不審外人の一人かと思われて一寸不愉快だ。
 飛行機は小一時間でヨテボリ空港に到着する。空港からはバスもあるが、不慣れな土地で早く学会場に着きたかったのでタクシーを拾った。タクシーは静かな高速道路を通り、モルンダールの町へと入っていく。ごく小さな町だ。料金は450SEK程であった。ホテルは予約が出遅れたためか学会場から遠く、不便でドライブインみたいなところだ。まあ寝られれば良しとすべきだ。でも受付のお姉ちゃんは純朴で親切な感じで対応してくれた。
 荷物を置くのもそこそこにトラムで学会場に向かう。受付でどっさりと資料の詰まった鞄を渡される。夕方からオープニングセレモニーがあった。チェアマン、市長などの挨拶の後はスウェーデンの人気歌手のステージがあった。いろんな歌を声量豊かに歌っていたがマイケル・ジャクソン、トム・ジョーンズなど会場の皆が一緒になって歌い盛り上がっていた。小生は聞き覚えはあるものの何を歌っているのか解らず合唱のうねりから取り残された感じだった。最後にABBAが出てきたのにはさすがスウェーデンだと思った。聞き覚えのあるナンバーをライブで聴くことが出来、望外の喜びだった。
王宮広場.jpgアンデルセン像.jpg学会場.jpgラディソンブルーH.jpg

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