蕁麻疹(1)

浦安皮膚臨床懇話会でじんましんの話がありました。この方面では日本で第1人者といってもよい広島大学の秀教授の講演でした。(当HPでもリンク先に広島大学のHPをあげてありますし、日本皮膚科学会HPの皮膚科Q&Aでも秀先生の解説に行き着きますが)

 じんましんの診断は簡単です。個疹(一つ一つの発疹)は数㎜の小さいものから、手のひら大以上の大きいものもありますが、それぞれはいずれも24時間以内(普通は数時間)で跡形もなく消えてしまいます(一部じんましん様血管炎、血管性浮腫を除く)。ただ、また他の場所に出てこれを繰り返すものです。ですから虫刺され様、みみず腫れ、赤みが出没していても短時間で消えるのであれば、診察時に何もなくても話だけで診断がつきます。ものの10秒もかかりません。
 治療も抗ヒスタミン剤(抗アレルギー剤)の適当なものを適当量使用するだけですから簡単なものです。

 しかしながら、「蕁麻疹」は日常診療で患者さんとの話が噛み合わないというか、納得の得られない疾患の最たるものの一つかもしれません。
「アレルギーの原因はなんですか。血液検査をして下さい。」
「飲んでる時は出ないけど、止めるとまた出る、ちっとも治らない」
「抑えるだけの薬で治す薬ではないんでしょう、いったいいつ治るんですか」
「毎日のように夕方から夜に出やすいような蕁麻疹は特発性の蕁麻疹といい特定の外来抗原によるものではないからスクリーニング的なⅠ型アレルギー検査(IgE RAST, RIST)を調べてもほとんど何もでてきません。だからむやみに血液検査をしても無駄なお金ばかりかかってあまり意味がありませんよ、」というと「折角アレルギーの検査をしてもらえると思ったのに原因の検査もせず薬だけですか、」
などなど・・・
 説明もどうもうまくいかず、納得が得られず、噛み合わず、忙しい診察時間のなかでお互いのイライラだけが募り、中には薬はいりません、と怒って帰る人もあります。
 秀先生の講義の力を得ていくらかでも上記の誤解を解いて問題を解決できるでしょうか。それともやはり説明不足だったり、分かりにくくて空回りに終わるでしょうか。口で言うより書いたほうが好きなタイプですので少し長くなりますが、その日の講演の内容を元に蕁麻疹とはなんぞや、どう付き合えば良いかなどについて書いてみることにしました。
以下次回。

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