【前住職閑話】~磁石の如し~
大晦日、あと数時間で年越しですね。
今年もあっという間の一年でした。
昭和が終わって、時の官房長官小渕さんが元号「平成」と書いた紙をテレビ画面で国民に示したのがついこの間のように思われます。
「あーあーやんなっちゃった、あーあーあーあ驚いた♪」と笑わせた牧伸二さんも今年逝ってしまいましたね。
年を取ると嘆き節ばかりがあちこちから聞こえてきますが、これだけは愚痴だから注意したいものです。年はみんな平等に取るのですから、自分ばかり被害者意識を持つのは正しいことではありません。
体の衰えに反比例して、心が豊かになることに努める人こそ仏法者といえる人です。仏法を聞くことを大切にする人は開かれた人間に変わります。
「真実に必ず目覚めさせる!」との阿弥陀さまの願いとはたらきを「本願力」(ほんがんりき)といいますが、それを親鸞聖人は「磁石の如し」と喩えています。
錆びついた釘も磁石に吸い取られると、釘自身が磁石となり他のものを引く力を発揮するようなものです。
常に新鮮ないのちをいただいていることを忘れないように、「ありがとうで年が暮れ、ありがとうで年を迎えましょう」。